70's, Pop, Rock, Vintage Rock

オフコースとボストンの関係について

先日、ボストンのファーストアルバム「Boston」やセカンド「Don't Look Back」を聴いていて、ふと、80年代初期のオフコースの8分を超える大作「SAVE THE LOVE」という楽曲を思い出しました。40年近い歳月を経て、それまで1ミリ足りとも脳裏をよぎったことのない楽曲名を唐突に思い出すのだから、記憶というのは不思議なものです。

当時、ボストンの楽曲を連想するこの「SAVE THE LOVE」を気に入ってよく聴いていたものです。具体的にどこが似ているというわけではないのですが、全体的なイメージというか、楽曲の構成というか、とにかく脳内でボストンに重なるのですね。

作詞作曲は、ギターの鈴木康博さんだけに、当時の彼のギターワークを考えると、まあ、明らかにボストンにインスパイアーされて作った曲であることは、明々白々です、と私は思っています。

ただ、当時から感じていて、久しぶりに聴いて、やっぱり同じように感じたことがあります。音が薄い。とにかく薄い。トム・シュルツが幾重にも重ねて多重録音で創り上げた、重厚で分厚いボストンサウンドとは、対局にあるこの「SAVE THE LOVE」のスカスカ感はなんだろうか、と思っていました。

79年に発表されたアルバムだけに、当時の録音技術ならボストンっぽい、もっと厚みのあるサウンドになっただろうに、そして、鈴木さんのイメージの中にボストンが存在したのであれば、彼だって、不本意なのではなかろうかと、思った次第です。

しかし、ウィキペディアがその謎を解き明かしてくれました。以下、ウィキペディアの「オフコース」からの引用です。

オフコースは5人で演奏可能なアレンジでレコーディングする方針を取っていた。最初は曲のタイトルも歌詞もない状態でコード進行を作り、そこにメンバーが意見を出し合ってアレンジを加えて行き、最後に詞が作られる。小田は当時「オーバープロデュースは嫌うので、音的には足りない部分もあるが、聴く人が足して聴いてくれればいい」と語っていた。
これが事実でれば、「SAVE THE LOVE」のスカスカ感もなるほど腑に落ちます。私は、当初から、この曲に対し、ボストンの楽曲とイメージを重ねて聴いてしまうので、物足りなさを感じているのであって、先入観なしに聴いたら、これはこれで完成された形として存在しているのかもしれません。

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