ビチビチブチブチとうなりをあげて炸裂するFrequency Modulation効果をフルに効かせたMini Moog、ザラッとした音素を降り注ぎながら空間を埋め尽くすピッチのずれたMellotronの3 Violinsサウンド。75年デビューの「Angel」というバンドのアルバム『天使の美学』の「Tower」という曲が大好きです。

KISSを売り出したレーベル、カサブランカレコードからデビューしたことが彼らの評価を不当に貶める結果になりました。悪魔のKISSに対し、天使のAngelという売り出し方をされたばかりに、白いヒラヒラのついた衣装を着せられ、登場するや否や完全にビジュアルが先行しアイドル扱いで、正統的なロックファンからはバカにされる存在になったのです。

しかし、バンドとして、ソングライターとしての実力は、かなりのもので『天使の美学』の全8曲はそのすべてがかっこいいわけです。特に、Greg Giuffriaが操るMini Moog、Mellotron、Hammond Organといったヴィンテージ鍵盤の使い方が、そのスジのファンにはたまりません。

ギターのEdwin Lionel “Punky” Meadowsもかなりの実力派ですが、彼はルックスが良すぎたばかりにFrank Zappaから「Punky’s Whips」という曲の中で名指しでコケにされてしまいます。「金のさらさらヘヤーに熱い唇」みたいな歌詞で、完全にゲイなおちょくり方です。

でもって歌っているのが、ドラムスのTerry Bozzioというのも意味深です。当時のTerry Bozzioはやはり美少年なルックスで、そのテリーが、Punky’s lips, punky’s lips, His hair’s so shiny, I love his hips! I love his teeth and his gums and such! Punky などと歌うわけですから、もう、勝手にしてチョーよ、という感じですね。ただし、ザッパは、この歌に関してはパンキー本人からちゃんと許諾をとっていたという情報もあります。

Angelは、何枚かのアルバムを出した後、80年代の初めに解散しますが、その後、キーボードのGreg Giuffriaは「Giuffria」というバンドを結成してプチ成功しますが、アルバム2枚で解散。そして、驚いたことに、実業家に転じ大成功します。ラスベガスでテーマパークのアトラクションやゲーム機器を設計・製造する会社を興し、ホテルの共同経営に乗り出すなど、ビジネスに才覚を発揮します。

では、Angelのファーストアルバム『天使の美学』から「Tower」、Frank Zappaのアルバム「Zappa in New York」から「Punky’s Whips」を聴いてください。