高校1年だった。日本にもこんなすごいロックバンドがいるのかと誇らしく思った記憶がある。Flower Travellin’ Band(フラワー・トラベリン・バンド)だ。

FTBは、アトランティックレコードからアルバムを出し北米ツアーでも現地のロックファンから高い評価を得たという。今の価値観で聴くと、いつ果てるともな続く、やたらダラダラと長い東洋的インプロビゼーションに睡魔と戦わなければならい点がつらいのだが、開き直って音楽に身を委ねると気持ちよい。

当時はこれがかっこよかった。インド的というか、東洋的な旋律を取り入れた演奏は、西洋人からすると神秘的な印象だったのだろう。演奏者の顔が平板な東洋顔だから余計にオーセンティック感が醸造される。おまけに「インドシャツ」(正式名称不明。袖がだらっと開いた綿のゆるーいシャツ)や絞り染めのTシャツでも着たらもうこっちのもんだ。

インドっぽいエッセンスの長い曲というと、The Doorsの「The End」なんかもその部類だが、The Endの方は、西洋人がうわべだけを真似た感が強く”浅い”。一方、FTBの「Hiroshima」や「Look At My Window」の即興パートから繰り出される石間さんのギターは、インド音楽の深部まで精神的ダイブを経験した結果として紡ぎ出された音のように感じる。

たとえ精神的ダイブが筆者の勝手な解釈だとしても、演奏でそう思わせるだけの力量があるということ。実際、石間さんは1990年代にインドに渡り、シタールの有名演奏者に師事している。

そんなFTBだが、2007年にオリジナルメンバーで再結成してアルバムも出している。面白いのは、米国iTunes Storeでのユーザーレビュー。これは俺が知っているFTBじゃない!って言っている人がいる。

確かに当時のFTBを聴いた者からすると、再結成FTBの音楽の方向性は、明後日に行っちゃってる感がある。それはしょうがないと思うのだが、何にも増してリズムがタイトになり過ぎている。現在の音楽としては当然なのだが、昔のFTBだけでなく当時のこの手のロックバンドは、みんなそうだったのだが、リズムがもっともっとユルかった。

あのユルさが心地よいのだ。グレートフル・デッドなどは、どの曲を聴いても「力の抜け具合」がちょうど良いよね。あの感じです。Spotifyのアカウントをお持ちの方は、プレイリストでお楽しみください。

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