「変拍子」には、中毒性があります。その魅力に取り憑かれると、朝起きて変拍子、メシ食いながら変拍子、トイレで変拍子、会議でも変拍子、とまあ、こんな感じで変拍子の洪水の中で生きていくことになります。あまりにハマってしまうと、普通の4拍子がどんなリズムだったのか忘れてしまいます(そんなこたぁないか…)。*画像はイメージです。

●「Presto Vivace and Reprise」by U.K.
U.K.の「Presto Vivace and Reprise」は、イントロから気持ちのよい変則リズムを聴かせてくれます。この曲を聴き続けて40年近くになりますが、音楽的な構造がどうなっているのか、未だにわかりません。そして、Verseに入ると4分の7拍子で攻めまくります。で、間奏がまたすごい。これはどうやってリズムをとればいいのでしょうか。楽譜に記すとすれば、8分の21拍子になるのかなあ?でも、ノリ的には、4分の10.5拍子ですかねえ。

●「Larks Tongues In Aspic Pt. 2」by King Crimson
変拍子の帝王とも言える太陽と戦慄時代3部作のKing Crimsonから「Larks Tongues In Aspic Pt. 2」です。ただし、King Crimsonは、現在ストリーミングサービスのカタログにはラインナップされていません。そこで、ここでは、同じく変拍子大好きバンドのDream Theaterのカバーをお聴きください。

いきなり、5拍子のヘビーなギターリフが炸裂します。頭から5→5→5→5→4→5→4と数えますが、最後の4拍子がキモです。前出の5拍子とまったく同じフレーズを弾いているのでここも5拍子かと思いきや、最後の1拍分が省略されています。実に洗練された変拍子です。King Crimsonの変拍子リフは、「変拍子やってまーす!」というあからさまな展開がないところがかっこいいのです。変拍子無双です。

●「Tom Sawyer」by Rush
カナダが生んだ超人気バンドRushも変拍子を多用します。これだけのビッグバンドでありながら来日したのは84年の1回だけという日本人的には残念なバンドでもあります。このバンドの変拍子は、とても単純でわかり易いのが特徴です。代表曲のTom Sawyerでは、Vampパートである1分32秒のMini Moogのフレーズから7拍子展開します。ただ、この7拍子「3+4で7ね」と一聴してわかるほどの明快さが北米のバンドっぽいわけです。欧州系とは趣を異にします。

とはいえ、彼らにも意地(?)があります。一連のフレーズのエンド2小節では、16分の7拍子と8分の3拍子を組み合わせるという、ちょっとした小細工を仕込んであります。これにより、何も考えずにビートを刻んでいると、いつの間にやら裏拍になってしまい、頭が混乱します。でも安心してください。この部分は、身体でビートを刻まないで、フレーズをベースにして演奏(聴取)すれば、いとも簡単にやり過ごせます。やはり単純明快な北米のバンドですね。

●「E」by Tricot(末尾Google Play ミュージックには未収録)
京都出身のインディ女性3ピースバンドTricot(トリコ)を最近聴いています。シングルカット楽曲の「E」のイントロや間奏のギターリフがとてもかっこいいのです。イントロは、8分の9拍子なのでしょうか?スピード感を伴った変則リズムが気持ちよいです。

●「Thrush」by Zletovsko
最後は、日本が誇るプログレバンドのZletovskoです。正直言って、このバンドの楽曲のリズム構成がどうなっているのか、私にはさっぱりわかりません。ビートの刻みとその上で展開するフレーズのシンコペーションが複雑に絡み合って、死ぬほど高度な変拍子演奏を展開しています。というわけで、拍子の解説は私の手に負えません。Zletovskoのキーボード奏者である堀越さんとは、テンポラリーなバンド仲間なので、いつかインタビューして徹底解剖してもらいましょう。

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