ベートーヴェンはメトロノームを活用した最初の作曲家

ベートーヴェンの交響曲 (講談社現代新書)という本によると、ベートーヴェンはメトロノームを活用した最初の作曲家だそうです。それを利用して楽譜に速度指定をこまめに入れているのはいいのですが、その速度がとても速いらしいのです。曲によっては演奏不可能な指定だったりします。

それが故に「現代のメトロノームと目盛の尺度が異なる」「壊れていた」などという意見が出てきて「速度指定を守らなくてもOK」という風潮が広まったといいます。指揮者の「解釈」と「個性」で演奏することが当たり前になったわけです。

苦悩するベートーヴェンの「精神性」を表現するためには、テンポを遅くして重厚に響かせる方がいいわけで、その「解釈」の最右翼が大指揮者フルトヴェングラーさんでした。

Apple Musicにフルトヴェングラーさんの「運命」の古い音源があります。ワンポイントで録音されたこの音源は、実に重々しく、眉間にしわを寄せて髪がくしゃくしゃになったベートーヴェンが自己との葛藤にもがき苦しんでいる様を連想します。

鼻歌うたいながらスキップしてるベートーヴェン

一方、「それって違うんじゃないの」「ちゃんと指定通り演奏しようよ」という指揮者もいます。サー・ロジャー・ノリントンって人です。サーです。英国の栄誉称号です。サーッ!は、福原愛ちゃんです。

この人の「運命」もApple Musicにあります。実に軽いです。速いです。あまりに軽快すぎて、アルプスの草原を「ちゃちゃちゃちゃーん」って鼻歌うたいながらスキップしてるベートーヴェンを思い浮かべてしまいます。

というわけで、文末のリンクまたはApple MusicアイコンをクリックしてApple Musicでこの2人の「運命」の第一楽章を聴き比べてください。その差に驚きます。

テープの切り貼り編集の失敗!?

余談ですが、フルトヴェングラーさん音源は、7分14秒あたりに編集の瑕疵がある点でも実に興味深い音源です。

おそらく、別のテイクから2拍分だけ切り抜いてきたようですが、録音時のテープの回転数が違っていたのでしょうか。ピッチが見事にずれてます。そして、アンビエント(残響)もぜんぜん違っているので、気持ちよく聴いていたら、突然の変化にのけぞります。

今なら、ProToolsで簡単に切り貼りして、ピッチのズレも残響の深さもデジタル処理でサクサクっと直せますが、このわずか2拍分の音から、先輩諸氏の苦労を垣間見ることができます。

古き良き時代の敬愛すべき出来事ですね。そういう私(山崎)も30年前は、せっせとアナログテープを切り貼りして音楽やナレーションの編集しておりました。

AvailableOnAppleMusicLOGO
https://itunes.apple.com/jp/playlist/chao-gao-su-yun-ming-betovu/idpl.3bbfc93230554cafaf0d72bd326f9c46

*MacのSafariで上記をクリックすると、iTunesには飛ぶのですが、「NEW」のトップが表示されるだけで、プレイリストに到達しない場合もあります。原因不明です。ChromeやiOS端末の場合は、問題なくプレイリストに到達してます。